“DAO”って何? ゲーミフィケーション要素も重要な「地方創生×DAO」の事例をご紹介

  • 2024年4月19日
  • 2024年8月1日
  • 事例

今回は、最近増加している「DAO」を活用した地方創生の事例をご紹介します。

DAO※(分散型自律組織)について

DAO(Decentralized Autonomous Organization、分散型自律組織)とは、ブロックチェーンを活用した新しい組織形態です。従来の中央集権型組織とは異なり、参加者同士が協力し合いながら組織運営を行います。
DAOはオープンで分散型のプラットフォーム上で運営され、参加者はデジタル資産を持ち、投票や意思決定に関与できます。組織内の権限や資源が分散され、権限集中によるリスクが低減されるとともに、参加者が主体的に組織運営に関わることが可能となります。

出典: NEC wisdom内DAO(分散型自立組織)とは?記事 より一部抜粋

DAOの特徴は、「分散性」と「自律性」にあります。また、国籍や地域にかかわらず世界中の様々な人々が自由に誰でも参加できる点も魅力のひとつです。そして、参加者側の参加動機の主なものには、参加し貢献する対価として何らかのインセンティブが与えられることにあります。参加者の貢献度に応じてトークンなどの報酬が分配されることで、積極関与につなげる動機づけを生みだしているのです。

一般社団法人 日本暗号資産ビジネス協会(※1)(JCBA)が昨年公表した『地方創生DAOの構築に係るガイドライン』があります。現在多くの地方創生に関するDAOが存在し、それぞれの取り組みの独自性が目立つようになってきているようです。このガイドラインにより、地方創生DAOの活用が更に健全な発展につながっていく可能性があります。

そのDAOをうまく活用する要素としてゲーミフィケーションがあります。楽しみながら人を能動的にさせるゲーミフィケーションの要素は、リアルな問題に対して解決策を導き出すポテンシャルを持っているのですが、早速事例をご紹介していきます。


(※1) 仮想通貨業界の健全な発展を目指して2016年に設立された一般社団法人

■美しい村 DAO

画像出典元:美しい村DAO https://beautiful-village.org/

「美しい村DAO」は、美しい村とデジタル村民をつなぐ、共創型地方創生プラットフォームです。株式会社ガイアックスと「日本で最も美しい村」連合に加盟する鳥取県智頭町・静岡県松崎町、連合サポーター 合同会社美しい村づくりプロジェクトが連携し推進している地方創生を目的としたDAOコミュニティです。

DAOのメンバーであるデジタル村民と地域のメンバーが共創し、地域資源を活用しながら、地方の活性化・関係人口の増加を持続的に続け、美しい村が持続可能な社会を実現することをめざしています。

美しい村DAOへの参加メンバーになるには、自治体ごとの特設サイトで販売されているデジタル村民証NFTを購入することからはじまります。特典としては、実際に村に住んでいる村民と同じように、温泉などの施設の割引や宿泊割引などを受けられるだけでなく、地域資源体験サービスの企画への参画、 DAO内の投票への参加などがあります。
これらのNFTは、美しい村DAOに参加している地域や参加者により企画される仕組みです。このDAOの参加者によって美しい村の世界観を満たすと認定されたものだけが販売許可される仕組みになっています。

静岡県松崎町では昨年、松崎町へのツアー参加特典付NFTの販売を数量限定で行うなど、様々な取り組みが行われています。
外部リンク 美しい村>村からのお知らせ

■Web3 タウン

先日、ふるさと納税の記事で紹介した岩手県紫波町の取り組みです。

出典:岩手県紫波町【地方創生】Web3タウンの表明について/紫波町

Web3タウンはブロックチェーン技術を活用した取り組みです。仮想空間上で町民以外にも「デジタル町民」の権利を付与し、ブロックチェーン(分散型台帳)技術を使い、代替不可能なデータ「非代替性トークン(NFT)」を利用することで住民証明を実現しています。同町はふるさと納税の返礼品で「Furusato DAO」のロゴデータをNFTとして購入することで「町民」になることができます。

デジタル町民はDiscord上のコミュニティに参加でき、対等な立場で意思決定をしながらプロジェクトを進めるDAO(分散型自律組織)に参加することで、主に地域課題の解決に繋いでいきます。

例えば、町で発生している人手不足などによるニーズをDAOに発注すると、受注したDAOの参加者に対価として商店街などで使えるポイントを支払うことで、「Help to Earn」が成立し、地域の課題解決につないでいます。

余談になりますが、この「Help to Earn」についてのわかりやすい事例がありますので、ひとつ紹介しておきます。

■番外編:TEKKON

出典:TEKKON

こちら、シンプルにアプリゲームのようにみえますが、実はDAOのようなユーザー参加型で成り立っています。このアプリを企画したのは、Whole Earth Foundationというシンガポール拠点のNPOです。
マンホールや電柱などの老朽化をユーザーが撮影し投稿するとポイントで報酬が得られ、社会貢献にもなることから世界8カ国13万人に利用されているようです。
本来行政でやらねばならない費用がかかる現場調査を、参加者を巻き込むことで安価に実現させ、参加者側には報酬と社会貢献というモチベーションが存在している、まさに「Help to Earn」であり、エコシステムがうまく作用している事例と言えるでしょう。
参考記事:ゲーミフィケーション+暗号資産で社会課題を解決するWeb3アプリの新発想

■さいごに

今回は、DAOについて地方創生の事例をご紹介しました。
DAOは、Web3時代の新しい地方創生や関係人口の形、市民と自治体だけでなく、インフラ企業をつなぐエコシステムといえるのではないでしょうか?
バーチャル町民になる権利や投票権などに関しても、日本国内の法整備はまだ追いついていない状況ですが、ゆくゆくは法整備が進み、DAOが日常的に活用されることになるかもしれません。そうなった時、日本の地方自治の新しい取組みがどのように変革していくのか、今からとても楽しみですね。

また最新の事例がまとまりましたら続編としてご紹介していきたいと思います。