ゲーム感覚で楽しめる「ながらスマホ運転」防止アプリ

  • 2021年2月9日
  • 2024年8月2日

いまや私たちの生活に欠かすことのできないスマートフォン。

IT技術の進化によりスマートフォンはインターネットやメールのほか、SNS、、動画、ゲーム等あらゆる機能が搭載され大変便利なアイテムとなっています。

しかし、そんな便利なスマートフォンですが、ときには凶器となり、事故を生む原因となってしまいます。

車の運転中にスマートフォンの画面を見たり、通話したりする「ながらスマホ運転」は非常に危険で社会問題化しています。

そんな社会問題を解決するために愛知県内で期間限定で開発された、ゲーム感覚で楽しめる「ながらスマホ運転」を防止するスマホ用アプリ「Driving BARISTA(ドライビング バリスタ)」をご紹介します。

※現在はインストール不可能です。

Driving BARISTA

<出典元:https://global.toyota/jp/detail/13869341>

■大手3社が協力して開発されたスマホ運転抑止アプリ

愛知県では交通事故死亡者数が13年連続(アプリがリリースされた2016年計測)で全国1位を記録しました。そんな厳しい状況を打開するため、2016年秋の交通安全週間に合わせてTOYOTA、コメダ珈琲店、KDDIという大手3社が協力し、交通事故の低減に向けて「Driving BARISTA」が開発されました。

アプリの配布は約1ヶ月間と短い期間でしたが、約3万7千ダウンロードされ、2016年9月20日~10月6日の17日間の計測期間中で「ながらスマホ運転」せずに安全運転走行された距離は約260万kmを記録しました。



■スマホを伏せて運転するだけでコーヒー無料券GET

<出典元:https://global.toyota/jp/detail/13869341>

アプリの使い方は運転開始時にアプリを起動して「SAFE DRIVE START」ボタンを押し、スマホを水平な場所に伏せた状態で置いておくだけです。

すると、走行距離の計測がスタートし、100km(2回目以降は200km)に達すると、コメダ珈琲店で使えるコーヒー1杯無料券を獲得することができます。

報酬を目的にミッションを遂行するゲーム感覚で安全運転を励行することができます。



■走行距離が表示される

<出典元:https://global.toyota/jp/detail/13869341>

アプリはGPSとジャイロセンサーを使用しており、現在の走行距離とクーポンが獲得ができる目標までの距離が表示されます。

走行中にうっかりスマホを手にとってしまうと、「ながらスマホ」と判定されてしまい、走行距離はリセットされてしまいます。

つまり「ながらスマホ」をしないで走行するという推奨行動を継続した距離がリアルタイムで可視化される事で目標に近づいている事を実感でき、目標を達成するとコーヒー無料券というユニークな報酬が貰えるという達成感を味わう事ができるという仕組みになっています。

これは、まさにゲーミフィケーションの手法の一つと言えるでしょう。



▼「Driving BARISTA」におけるゲーミフィケーション要素のまとめ

・コーヒー無料券という分かりやすい達成報酬によりプレイ動機が生まれた

・「ながらスマホ」をしてしまうと走行距離がリセットされるという制約を設ける事で、良い行動を促進した

・ゴールまでの残りの走行距離を即時にフィードバックし、ゴールまでの進捗を可視化する事でモチベーションが維持出来た



■まとめ

2016年秋の期間中に愛知県内ではコーヒークーポンは約2万枚が有効となり、アプリがリリースされる前の17日間と走行距離蓄積期間の17日間を比較すると、運転中の「ながらスマホ」をしてしまった人は15%減少したという結果になったそうです。

「Driving BARISTA」は単にスマホ使用禁止にするのではなく、スマホを使用した新しい発想で体験価値を提供し、事故防止に貢献した画期的なアプリです。

試験は愛知県内のみで実施されましたが、この結果から、ゲーミフィケーションは社会課題を解決する可能性のヒントになるでしょう。

この記事を書いた人

庄野 響

印刷会社のグラフィックデザイナーとして勤務後、オルトプラスに入社。 紙媒体からWebまで幅広い領域のゲーミフィケーションに関わるデザイン・コーディング業務を担当。 現在はエンジニアへのジョブチェンジを目指して勉強中。