ヘルスケア領域のゲーミフィケーションサービスをご紹介:海外編(1)

  • 2024年7月4日
  • 2024年8月1日

「ヘルスケア×ゲーミフィケーション」のサービスや事例を数回に分けてご紹介します。
ヘルスケアの領域には、健康管理などの継続的なセルフメディケーションやリハビリテーション、介護など、「大変だけど繰り返しやり続けなくてはならない」ことが多く存在しています。継続が難しいヘルスケア領域にゲーミフィケーションを取り入れることで、「やりたくなる」「やり続けたくなる」といった人間の本質を捉えた体験設計を行い、モチベーションを高めているユニークなサービスや事例が存在します。

今回はその中から海外の例をご紹介します。

『SuperBetter』ゲームプレイによるセルフケア

出典:App Store Preview>SuperBetter: Mental Health

ゲームデザイナーでもあるアメリカのジェイン・マクゴニガル博士が開発したこのアプリは、ゲーミフィケーションの力を利用して、メンタルヘルスやその回復力の向上を目指したもので、日常の挑戦や困難に立ち向かうためのアプリおよびフレームワークです。

ユーザーは「ヒーロー」となり、現実世界の問題(健康管理、目標達成、ストレス軽減など)をゲームの要素を取り入れて克服していきます。具体的には、「クエスト」(小さなタスク)を完了し、「バッドガイ」(否定的な感情や障害)を倒し、「パワーアップ」(健康的な習慣やポジティブな行動)を収集することで、リアルな生活における問題に対処していきます。

このアプローチは、ジェイン・マクゴニガル博士が、ゲームによって自らの病を克服していった自身の体験から生まれたソリューションです。
彼女の著書『SuperBetter: A Revolutionary Approach to Getting Stronger, Happier, Braver and More Resilient –Powered by the Science of Games Hardcover(日本語版:『スーパーベターになろう!』)』に詳しく説明されていますので、ご興味があれば一読してみてはいかがでしょうか。

『Zamzee』子どもの肥満改善を目的としたソーシャルゲーム

出典:Hopelabウェブサイト

『Zamzee』は子供たちが日常的にもっと体を動かすように促すため、2010年にアメリカのHopelabが開発した、ウェアラブルデバイスを利用したデジタル健康プラットフォームです。運動を楽しくやる気にさせるために、ゲーミフィケーション要素を取り入れています。フィジカルアクティビティを追跡し、報酬やインセンティブを提供することで、運動へのモチベーションを高める仕組みです。

具体的には、『Zamzee』専用のアプリを使って、運動測定機能がついた小型デバイスを装着し、ユーザーの歩行・ランニングなどの日常の身体活動を追跡します。
ユーザーは目標を設定し、達成することでポイントやバッジを獲得します。運動をゲーム化することで、楽しく続けられる工夫が凝らされています。

獲得したポイントは、アバター(オンライン上の自分の分身)のカスタマイズ用グッズや商品券と交換することができます。これにより、ユーザーは運動を続けるためのモチベーションを得られます。
ユーザーはさまざまなチャレンジやミッションに参加することができ、これらをクリアすることでさらにポイントを稼ぐことができます。
また、『Zamzee』は、家族や友人と一緒に運動を楽しむことを推奨しています。互いに励まし合い、競い合うことで、運動の習慣化をサポートします。
さらに、学校や企業と提携し、健康プログラムの一環として導入されることもあり、広範なコミュニティでの健康促進が図られています。

『Zamzee』の目標は、特に若者が楽しく積極的に身体を動かす習慣を身につけ、長期的な健康改善を達成することです。このアプローチは、運動不足による健康問題を予防し、全体的な生活の質を向上させることを目指しています。

『Re-Mission』がん患者の子供や若者を対象にしたビデオゲーム

出典:Hopelabウェブサイト

『Re-Mission』は、上記『Zamzee』と同じHopelabが開発したがん患者の子供や若者を対象にしたビデオゲームです。
プレイヤーは、がん患者の体内に侵入し、がん細胞を退治し、患者を治療するというストーリーをSFゲーム感覚で楽しむ仕組みです。がんの治療プロセスを理解し、治療への積極的な参加を促すことを目的としています。研究によれば、このゲームをプレイした子供たちは治療へのアドヒアランス(遵守度)が向上したようです。

利用者のメリットとしては、
・プレイすることでがんに対する知識と理解を深められる
・治療への意欲が向上する
・セルフエフィカシー(※1)を高められる
などが挙げられます。

詳しくは、Hopelabウェブサイトを参照ください。


(※1)  セルフエフィカシー(Self-efficacy):自己効力感。困難な状況において、自分は適切な行動を成し遂げられるという確信のこと。

『CUREO』ゲームの力でリハビリテーションをより効果的で楽しいものに

出典:CUREosity GmbHウェブサイト

CUREosity GmbHは、2018年に設立されたドイツを拠点とする企業です。リハビリテーションをより効果的で楽しいものにし、患者の回復を支援することを目指しています。彼らのソリューションは、従来のリハビリテーション方法に比べて以下の点で優れています。

・ゲーミフィケーションとVRを通じて、患者のリハビリへの積極的な参加を促します。
・AIとセンサーテクノロジーによる個別化されたトレーニングプランとリアルタイムのフィードバックにより、リハビリの効率を最大化します。
・没入型のVR体験により、患者はポジティブな感情を持ちながらリハビリに取り組むことができます。

CUREosity GmbHは、革新的な技術とデザインで、リハビリテーション分野において新しい標準を確立し、患者の生活の質を向上させることを目指しています。

『MySugr』糖尿病管理サポートアプリケーション

出典:ACCU-CHEKウェブサイト(日本語版)

『MySugr』は、世界有数のバイオテックカンパニーであるロシュグループ(スイス本社)のRoche Diabetes Careが開発した糖尿病管理をサポートするアプリです。このアプリは、糖尿病患者の日々の血糖値の記録と管理を楽しく、そして簡単にすることを目指して設計されており、日本でもサービス提供されています。
ユーザーはBluetooth対応の血糖測定器と連携することで、自動的にデータ入力することができ、血糖値の変動がグラフや統計で表示され、視覚的に把握できます。

糖尿病管理に必要な、インスリンの投与量や時間、食事内容のカロリー計算や運動量を記録することで、ポイントを獲得し、アプリ内のモンスターを育てることができます。これにより、日々の管理が楽しくなり、データの記録も継続しやすくなります。ゲーム感覚で日々の管理を行うことで、継続的なモチベーションを維持することに繋がっています。記録したデータはレポート化され、医師や医療チームと共有することもでき、診察時に役立つ詳細なデータを提供します。ゲーミフィケーション要素を取り入れることで、患者のモチベーションを高め、継続的な管理をサポートするアプリとなっています。

まとめ

いかがでしょうか? ヘルスケアの領域には、継続的な健康管理が必要になってきますが、継続的に測定しなければならないという難点があります。そこで大切なのは、継続的に測定し管理し続けるモチベーションを維持することです。
継続が難しいヘルスケア領域だからこそ、ゲーミフィケーションを取り入れることで、「やりたくなる」「やり続けたくなる」といった人間の本質を捉えた体験設計によって、モチベーションを高めることができるのではないでしょうか?

次回も、ヘルスケア×ゲーミフィケーションのサービスや事例をご紹介します。