ヘルスケア領域のゲーミフィケーションサービスをご紹介:海外編(2)

  • 2024年7月10日
  • 2024年8月1日

ヘルスケアとゲーミフィケーションの融合は、世界中で注目されているトレンドです。
ヘルスケアの領域には、健康管理などの継続的なセルフメディケーションやリハビリテーション、介護など、「大変だけど繰り返しやり続けなくてはならない」ことが多く存在しています。継続が難しいヘルスケア領域にゲーミフィケーションを取り入れることで、「やりたくなる」「やり続けたくなる」といった人間の本質を捉えた体験設計を行い、モチベーションを高めているユニークなサービスや事例が存在します。
特に海外では、ユーザーの健康促進を目的とした様々なアプリケーションやプログラムが開発されています。
前回に引き続き、ヘルスケア領域でゲーミフィケーションが活用されている海外のサービスや事例をご紹介します。

『Fitbit』健康を変革するスマートテクノロジー

出典:Fitbitウェブサイト

『Fitbit』は、Googleが買収したアメリカの企業で、ニュースにもなったため記憶に新しいと思います。ウェアラブルデバイスを通じてユーザーのフィットネス活動を追跡し、歩数、距離、消費カロリー、心拍数、睡眠パターンなどをモニタリングします。

『Fitbit』のゲーミフィケーション要素としては、例えば、最も多くの歩数を達成する競争などを、友人や家族とチャレンジする機能や、特定の目標(例えば10,000歩)を達成するとバッジがもらえたり、他のユーザーとリーダーボード上で順位を比較・確認できたり、フォーラムやグループでのサポートやモチベーションを共有できたりすることなどが挙げられます。

孤独になりがちなチャレンジを、仲間だけでなく、『Fitbit』内のユーザーと自分の位置を確認しながらモチベーションを高める工夫がされています。

『Zombies, Run!』走ってゾンビから逃れるランニングアプリ

出典:App Storeプレビュー>ZRX: Zombies, Run!

イギリスのアプリ開発会社Six to Startが開発したランニングアプリで、ユーザーがゾンビ・アポカリプスというストーリーに参加しながらランニングを行います。

ユーザーはゾンビから逃げるミッションをこなさねばならず、リアルタイムでゾンビの追跡音が聞こえ、逃げるために走る必要があるというストーリーテリングがベースとなっています。ただ逃げるだけでなく、ランニング中に仮想のアイテムを集め、基地を強化していく楽しみも備えています。ストーリーが進むにつれて新しいミッションがアンロックされるなど、これらのゲーミフィケーション要素が仕込んであることで、ユーザーのチャレンジを継続することに繋げています。

『Pokémon GO』運動促進やひきこもりにも有効な大人気スマホゲーム

知らない人がいないほど有名な『Pokémon GO』は、Nianticが開発した拡張現実(AR)ゲームで、ユーザーが現実世界でポケモンを捕まえることができます。世界中で大人気となり、特に健康増進効果が注目されました。

ポケモンを捕まえるために外出して歩く必要があり、特定の場所やイベントで多くのプレイヤーが集まるコミュニティに参加する点や、ポケモンを集め、強化するなどしてジムバトルに勝利することで達成感を得られる点がゲーミフィケーション要素として挙げられます。

また、引きこもりとなってしまった人が外出するきっかけになったことも何度か話題になりました。このように、ヘルスケアに寄与する点でも、『Pokémon GO』の大きな社会的影響が見られます。

『Noom』健康管理&体重管理アプリ

出典:App Storeプレビュー>Noom: Healthy Weight Loss Plan

アメリカのヘルスケアテクノロジー企業Noom, Inc.が開発したウェイトロス(体重管理)アプリです。行動科学に基づき、長期的な健康習慣を身につけることを目指しています。

運動と食事の管理といった要素だけでなく、認知行動療法(CBT)などの証拠に基づいたアプローチと科学的に証明された原則を使用して、マインドフルネス、減量、生涯続く健康で持続可能な習慣の構築を支援することが類似サービスとの違いとなっています。

ゲーミフィケーション要素としては、日々の小さな目標を設定し、それを達成することで達成感を得ること、個別の仮想コーチがユーザーをサポートし、フィードバックを提供していること、健康的な行動を取ることでポイントを獲得し、それを追跡して進捗を確認できることが挙げられます。

『MyFitnessPal』食事と運動記録によるカロリー管理アプリ

出典:My Fitness Pal

アメリカのMyFitnessPal, Inc.が開発した健康管理アプリで、食事記録を中心に、運動記録を行うことでカロリー管理ができるサービスです。

好きな食べ物や提携デバイスアプリとの連携によるエクササイズを記録し、日記として簡単に登録し、可視化できる仕組みです。食品登録のデータベースには1100万件以上があり、コンビニ商品なども含め随時更新されています。

ゲーミフィケーション要素としては、日々ログインすることで得られるボーナスポイントが獲得でき、体重や摂取カロリーの変化をグラフで確認でき、他のユーザーとサポートし合い、励まし合うことができるコミュニティフォーラムを備えている点が挙げられます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回ご紹介したサービスや事例は、ゲーミフィケーションが健康管理においていかに強力な要素であるかを示しています。
楽しさとモチベーションを提供することで、ユーザーの健康行動を持続させることができます。これからも様々な企業がゲーミフィケーションを活用し、工夫を凝らしながら新しいサービスを生みだしていくことでしょう。

次回は、ヘルスケア×ゲーミフィケーションの国内のサービスや事例をご紹介します。