面接では測りにくい能力、性格を引き出す目的で行われた、ユニークな新卒採用の事例をご紹介します。
■宝探しをモチーフにした採用試験
株式会社VOYAGE GROUPにて、行われていた学生たちがグループに分かれ、謎解きをしながら「宝探し」をするのがその内容です。
過去に「古より伝わりし大陸の秘宝」、「時空に眠る大陸の秘宝」、ECナビ時代にも「失われた大陸の秘宝」と題した同様の選考を実施されていました。
■採用側、学生側ともにメリットが
70分間の制限時間の中で、オフィス全体を使い、4人〜5人のチームに分かれて謎解きをし、宝物を探すという内容です。
「チームで協力する事」がポイントで企業側は協調性や問題解決能力、学生の個性など書類選考や、面接ではわかりづらい部分を測るために効果的とのこと。
我々の時代にもグループワークなるものを選考過程に導入していた企業もあったが、まとめ役になったほうがよいのか?積極的に発言をしたほうがいいのではないか?と考えることが多く、本来の自分を出しづらかった記憶があります。
また、ストーリー性を持たせることで、人はゲームに没入しやすくなります。
ゲームに没入すればするほど、学生は熱中して素の表情やリアルな性格が表に出やすくなる為、ストーリー性を持たせることも、目的に対して有効に作用していると言えます。
本事例に参加された学生の皆様は緊張感もほぐれ個性を出しやすかったのではないでしょうか。
■ゲームはとっつきやすい
本記事以外にもゲーミフィケーションの事例をいくつかご紹介してきましたが、ゲーミフィケーションを導入する目的や期待する効果としては、大きく分けると2つに分類されます。
①既存サービスにゲームのシステム、演出、サイクルを導入することで売上や顧客満足度をあげる
②本来ゲームではないものに対して、ゲ-ム性やエンターテイメント性を持たせた見せ方にすることで、多くの人にとっつきやすくし、認知度や参加率をあげる
今回のような事例は②の認知度や参加率の向上を目的としていると考えられるでしょう。
実際に、同社の2013年の「時空に眠る大陸の秘宝」では応募者が前年比20%以上増加し、一定の効果が見られたとのことです。
これは、初めて行われた施策であり、新鮮さや話題性も要因となったのではないかと推測されます。
ソーシャルゲームにおいても、初めて実施する施策は、導入した初回が一番効果が高く、その後、似たような施策を投じても数字は横ばいもしくは、逓減していくため、中長期の運営をしていく中で企画メンバーは「どうすればユーザーが継続して参加したいと思ってくれるのか」日々頭を悩ませているものです。
「時空に眠る大陸の秘宝」以降どのような施策を実施して、応募者数がどのように推移したのかについても非常に興味深いですが、
少なくとも「時空に眠る大陸の秘宝」以降の応募数をどうしたら20%あげられるか?を採用担当の方々が真剣に考え、前回以上に興味を持ち参加したくなるような施策を投じ続けていった事と思います。
このように、PDCAサイクルを回しながら提供するコンテンツをブラッシュアップしていく作業はゲーム運営そのものとも言えるでしょう。
「提供されるコンテンツ」も「考える側の思考」もゲームに染まっていくことで、世の中はさらに改善されていくのかもしれません。
最後に、この施策のポイントをまとめると下記となります。
・POINT1:新卒採用選考にゲーム性を導入した事で興味を促し参加率を高めた
・POINT2:ストーリー性を持たせる事で、ゲームに没入し本来の素の表情やリアルな性格を見えやすくした
・POINT3:チーム制を導入する事で、協力しながら目標を達成する過程でそれぞれの個性や長所を生かしやすくした
・POINT4:宝探しという課題と目標を明示し、課題解決能力を見える化した
■株式会社VOYAGE GROUP