「学習」は、嫌でも歯を食いしばって頑張って学ぶもの。
少なくとも、プログラミングの分野においては、そのような学習のイメージは大きく変わり始めている事でしょう。
2018年に公開された『テクノロジア魔法学校』は、「プログラミング学習」にゲーミフィケーションの要素を緻密に組み合わせた事例として非常に興味深い事例です。
テクノロジア魔法学校
出典元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000019771.html
■学生向けプログラミング教育を手掛けるベンチャー企業が作った
「テクノロジア魔法学校」は、2018年にライフイズテック株式会社より、ディズニーのオンライン型プログラミング学習教材として販売開始されました。
ライフイズテックは、2011年より中学生・高校生向けにプログラミング教育の事業を展開してきたベンチャー企業で、「テクノロジア魔法学校」にはそこで得たノウハウが存分に生かされていると言えるでしょう。
「テクノロジア魔法学校」には、「メディアアート」「ゲーム制作」「Webデザイン」の3つの学習コースがあり、基礎編40時間、応用編60時間の合計100時間分の学習コンテンツが用意されています。
対象年齢は12歳以上となっており、子供から大人まで、すべての人に送るディズニープログラミング学習教材として販売されています。
■まさにゲームをしている感覚
それでは、「テクノロジア魔法学校」の特徴を挙げていきたいと思います。
公式サイト内には下記のように書かれています。
・ディズニーの魅力的な物語へダイブできる
・大人も驚く本格的・実践的なプログラミング制作テーマ
・デジタルとアナログを融合させたワクワク謎解きアドベンチャー
・続きが気になるメインストーリーやキャラクター達との会話
・レッスンクリアで送られてくる美しい絵葉書のコレクション
・クロスカテゴリー型カリキュラムで総合学習
・「3秒ステップ・バイ・ステップ式」学習システムで「速く・深く・大量に」学ぶ
・入念に設計された繰り返し学習サイクル
(出典:https://www.technologia-schoolofmagic.jp/learning/)
実際に筆者も体験をしてみて感じたのは、重厚なストーリーをベースに、適切なナビゲートを受けながら、一つずつプログラミングのクエストをクリアしていく、それは本当にゲームをしている感覚そのものでした。
■あなたも魔法使いになれる
ストーリーを設けて覚えやすく記憶に残る物語を展開させていたり、プレイヤーのクリア内容に応じた報酬を用意していたり、基本的なゲーミフィケーションの要素はしっかりと活用されていますが、特に興味深いのは、ライフイズテックが「3秒ステップ・バイ・ステップ式」と呼んでいる、プログラミングの学習システムの部分です。
「3秒ステップ・バイ・ステップ式」とは、細切れの反復練習を繰り返しながら、徐々に習熟していくシステムの事を指します。
学習システムを分解してみると、下記のような重要な要素が含まれていることが分かります。
・POINT1:長すぎず短すぎない細切れのショートサイクル
ショートサイクルとは、”成功を体験できるまでの最小プレイ単位”の事を指します。
例えばRPGゲームにおけるショートサイクルは、
・ある町の住人から依頼を受ける
・洞窟を訪れて退治する
・お礼にご褒美をもらう
までと考えると良いかもしれません。
そのショートサイクルが、洞窟にいる魔物に出会うまでに何週間もかかるとすると、そのゲームをやめてしまうでしょう。
逆にあまりにも簡単に魔物を倒せるとすると拍子抜けして達成感や充実感は得られないでしょう。
そのような意味で「テクノロジア魔法学校」は、レッスンの目安は少ないもので3分~8分程の設計されており、集中力が切れる前にクリアできる設計がされています。
・POINT2:チャレンジによる小さな失敗体験と大きな成功体験
チャレンジとは、解決するために努力が求められる課題の事です。
「テクノロジア魔法学校」においては”レッスン”の事を指します。
“レッスン”は、クイズを解いているような感覚で進みます。
ここで特筆すべきは、正しいコードを書くまで、ナビゲートするキャラクターが一切何も反応しない(セリフを言わない)事です。
これは小さな失敗体験を表現しているのですが、ここでキャラクターが失敗した事についてあえてセリフを発言したとするとプレイヤーはどんどん苦痛や不安を感じてしまうでしょう。
また分からなかった時はヒントを見る事で正解が分かるようになっている為、行き詰ったり失敗し続ける事がありません。
正しいコードを書くと、プレビュー画面には正しい表示が反映され、正解を告げる音とキャラクターが誉めてくれる事で大きな成功体験を得られます。
つまり、少しの失敗体験に対して成功したときの体感の方が大きい事で次もやってみようというプラスの感情で終わる事が出来ているのです。
・POINT3:徐々に難易度が上がっていく適切なレベルデザイン
レベルデザインとは、ゲームで例えると、プレイヤーのLvやミッションの難易度に応じて、敵の強さや報酬の内容を適切なバランスに設計する事を指します。
この意味でも「テクノロジア魔法学校」は、非常に緻密に設計をされており、徐々に記述の要素が増えていきます。
また、レッスンの最後に必ず復習として図解説明をしている事や、次のレッスンで前回のレッスン内容の復習となる要素が含まれている事など、少しずつかつ確実に理解が深まっていく為の設計がされています。
出典元:『テクノロジア魔法学校』サイト内画面
※レッスンの最後に表示される図解説明画面
以上のように、プレイヤーは細切れの反復練習と成功体験を経て、習熟していきます。
それはまさに、使える”魔法”が増えていくような体感を得られるのです。
「テクノロジア魔法学校」は”ディズニー”という強力な世界観やストーリーに目が行きがちですが、実は学習システムがベースとしてしっかり設計されているからこそ、”ディズニー”としての世界観がより引き立つのだと感じました。
公式サイトでは無料体験なども可能となっているようなので、
「プログラミングを始めたいけどどこから手を付けてよいかわからない」「プログラミングを学習していたが挫折してしまった」など、プログラミングをじっくり、しっかり学びたい方は、是非、試してみられてはいかがでしょうか。
◆「テクノロジア魔法学校」はこちら